家計から幸せな家庭作る ファイナンシャルプランナー秋山慎也

キャッシュフロー表とは?

キャッシュフロー表

キャッシュフロー表

個人の家計について、計画を行う際(ファイナンシャルプランニング)にもっとも大切になる要素が、キャッシュフロー表です。キャッシュフロー表は、現在のお金の出入り、将来必要になる出費やその時の想定収入、預貯金などを分析して、表形式でまとめたものを指します。

キャッシュフロー表では、収入などの変動率を設定して、将来価値で計算していくという特徴がありますので、あくまでも想定の範囲はでませんが、より現実的な家計像を見ることができます。

[st-kaiwa1] ※将来価値の計算方式は、次のようにして求めます。将来の金額=現在の価値×(1+変動率)経過年数[/st-kaiwa1]

キャッシュフロー表は、お金がいくら入ってきて、いくら出ていくのかの「予定」を長期的に見ていくものなので、他のライフプランニングに使う表に比べて重要度がより高いということができます。

このページでは、キャッシュフロー表の作成の例とその際必要になるデータや情報は何かをまとめておきます。

参考ページ:ライフプランニングとは

キャッシュフロー表を作成するに当たり必要となる計算式

  • 年間の収支=年間の収入−年間の支出
  • 預貯金の残高=前年末の預貯金の残高×(1+運用利回り)±該当年の年間収支
  • 現在価値(金額の出し方)=将来の価値(金額)×(1+変動率)経過年数

※将来における収入などの金額については、先ほど提示したように、将来の金額=現在の価値(金額)×(1+変動率)経過年数で求めることになります。

これだけみるとわけがわからないので、具体的な事例でみていきましょう。2016年現在夫の年収が500万円、奥様がパートで年間100万円の収入があったとします。変動率を仮に1%と仮定して、子供が2人いたとして次のようなキャッシュフロー表ができます。

経過年数 現在 1年後 2年後 3年後 4年後
西暦 変動率 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
収入 給与収入(夫) 1%  500 505 510 515 520
給与収入(夫)  −  100 100 100 100 100
年間収入合計  600 605 610 615 620
支出 基本生活費 1%  240 242 245 247 250
住居費  110   110   110   110   110
教育費(子供2人) 2%  50 51 52 53 55
保険料  40  40  40  40  40
その他支出 1%  20 20 20 20 21
一時的な支出
支出合計  460  463 467 470 476
  年間収支  140 142 143 145 144
預貯金残高  1%  800 942 1085 1230 1374

※(各数値の単位:万円)

可処分所得とは何か?

可処分所得

キャッシュフロー表の作成において重要な点は、収入はいわゆる額面年収ではなくて、可処分所得を入れることが望ましいということです。可処分所得とは、実際に使える収入金額のことを指し、天引きの支払いがない場合のいわゆる手取りの金額のこととほぼ、同義です。

[st-kaiwa1]可処分所得=額面年収−所得税−住民税−社会保険料[/st-kaiwa1]

社会保険料とは、厚生年金保険料・国民年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料を指します。生命保険や家財保険、地震保険、火災保険などの損害保険料などは、ここではマイナスしません。社会保険料とは別の観点でお考え下さい。

なぜ、キャッシュフロー表において、額面年収ではなくあえて、可処分所得を使うかというと、実際にどれだけお金を使えるのかを考える必要があるからです。より実際に近い、実務的な考え方をするために、可処分所得を活用することが必要になるのです。

必要保障額について

次に、ライフプランニングにおいて、もうひとつの重要な役割である必要保険金額の算出方法について紹介しておきます。

家計をひとつにする世帯の中で、主な収入を稼いでくれる人に万が一のことがあった際に、残された遺族がその後安心して生活できるための生命保険による必要な金額を、必要保障額といいます。一般的には、必要保障額は次のようにして計算します。

[st-kaiwa1]必要保障額 = 遺族生活資金 ー 準備済み資金等[/st-kaiwa1]

※遺族生活資金とは、子どもが大学を卒業するまでの生活費と子どもが大学を卒業してから後、妻が生活する資金、と別途で必要になる資金の合計です。別途に必要になる資金とは、生活費以外に必要となるお金のことで、教育資金や結婚資金、葬儀費用等が上げられます。

つまり、遺族生活資金=子どもが大学卒業するまでの生活費+子どもの大学卒業後の妻の生活費+その他の必要費用 ということができます。

※準備済み資金等というのは、すでに蓄えている預貯金や公的年金、死亡退職金や妻の収入等もこれに該当します。

ライフプランニングに活用する6つの係数

ライフプランニングする際には、将来の必要資金などをうまく計算する必要があります。そこで、さまざまな状況によってそれらの資金を計算するのに活用する6つの係数があり、それらをうまく活用することで、状況によってさまざまな資金を計算することができます。係数は、次のようにして使用します。

[st-kaiwa1]求めたい金額=元となる金額×各係数[/st-kaiwa1]

  1. 終価係数
  2. 現価係数
  3. 年金終価係数
  4. 減債基金係数
  5. 年金現価係数
  6. 資金回収係数
それぞれの係数について簡単にまとめておきます。

1.終価係数とは、複利計算による将来の金額を計測するのに活用する係数です。例えば、100万円の資金を年利2%で10年運用した場合、終価係数が1.219となり、10年後の貯金は、100万円×1.219=1,219,000円の預貯金が残る計算になるということです。

2,現価係数とは、将来の預貯金目標額をとある条件下の運用状況によって達成するために、必要となる元手はいくらになるかを計算するものです。例えば、年利2%で10年運用した結果100万円の預貯金になるためには、いくら必要か計算しようとすると、現価係数が0.8203となり、100万円×0.8203=820,300円が元手として必要になるということになります。

3,年金終価係数とは、毎年一定額の貯金を一定の利回りで一定期間積み立てた場合に、将来の一点においていくらの預貯金になっているかを計算する際に使う係数を指します。例えば、毎年年利2%で100万円ずつ10年間積み立てるとすると、年金終価係数は10.9497となり、100万円×10.9497=1,094,970円積み上がるという計算になります。

4,減債基金係数とは、一定の条件下で一定期間積み立てを行う際に、目標金額に到達するためには、毎年いくら積み立てる必要があるかを計算する際に使う係数です。例えば、毎年年利2%で10年間積み立てることした場合、減債基金係数は0.0913となり、10年後に100万円積み上がっているためには、100万円×0.0913=91,300円毎年積み立てればよいということになります。

5,年金現価係数とは、一定の利率で運用している状況の中で、一定期間に毎年一定額のお金を年金として取り崩して受け取る場合に必要となる原資=元本を計算する係数です。例えば、年利2%で運用している年金を毎年100万円ずつ10年間受け取る場合の年金現価係数は、8.9826となり、必要な年金原資は100万円×8.9826=8,982,600円ということになります。

6,資金回収係数とは、一定年率で運用されている年金原資を一定金額年金として受け取る場合に、毎年いくら受け取れるかを計算する係数です。これは、年金としてもらう場合にも使えますが、逆にローンの支払いの計算にも使うことができます。例えば、年利2%で運用されている100万円積み上がっている年金があって、それを10年かけて受け取る場合、資金回収係数は0.1113となり、100万円×0.1113=111,300円毎年受け取れることになります。

これらのさまざまな係数や指標、概念を活用して、ライフプランニングは進んでいきます。

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